日本における「社会性と情動の学習」(SEL)とそのアイデンティティへの影響: シンボリック相互作用論の視点から 人間環境学府 教育システム専攻 本研究は、個人、グループ、社会がどのように相互作用し、相互形成されていくかという観点から、こんにち普及しつつある「社会性と情動の学習」(SEL)と呼ばれる教育現象を探求する。そこから、どのような教育結果やアイデンティティが生じうるのかも探究する。 SELとは、共感や自己管理のような「人生の有効性」のための基本的な対人関係能力とされるものを、子どもや大人において明示的に身につけさせるプロセスを指す。 [...]
性別と精神的暴力に焦点を与えるデートDVに関する啓発メディアの開発 芸術工学府 芸術工学専攻 デートDVの防止啓発において、多くの啓発メディアは啓発対象の性別を分けずに作られ、また、精神的暴力を判断する尺度は明確されていないため、内容によって人々の捉え方が大きく異なるという問題がある。本研究では、大学生を対象としたデートDVの防止啓発を目的に以下の3点を実施する。①男女別の精神的暴力に関する暴力観を明らかにすること。②多様な芸術表現を用いて、啓発メディアを開発すること、③従来のパンフレット [...]
西洋近世哲学における自己認識理論の解明——知性的経験の視点から—— 人文科学府 人文基礎専攻 西洋哲学では18世紀を境に、古来広く認められていた自己認識の可能性が疑われるようになる。しかし他方で、自己認識はアイデンティティの根幹をなす事柄として、人が自律的に生きるために必要不可欠なものと考えられるようにもなってゆく。本研究では、自己認識をめぐるこうした混乱を整理し、自己認識理論を改めて問い直すことを試みる。そのために、古代・中世における知性的経験のあり方に遡りつつ、西洋近世哲学における自己 [...]
素数と結び目の類似性について 数理学府 数理学専攻 私の研究分野は数論とトポロジーであり、もちろん数論学者やトポロジストと協力することができます。数論と位相的量子場理論のつながりがあるため、理論物理学者とコミュニケーションを取り、協力することも可能です。一方で、現在の暗号理論の基礎は主に素数の特性に基づいています。素数と結び目には類似した挙動があるため、同じ考えを暗号理論に導入し、結び目の特性に基づいた暗号システムを設計することを考えることができま [...]
多様な色覚を持つ観察者の色顕著性の違いと注意の変化に関する神経活動 芸術工学府 芸術工学専攻 ヒトの持つ、様々な多様性の一つに色覚がある。色覚多様性には遺伝的な要因があるが、近年では脳での情報処理過程の多様性も、色の見え方に大きな影響を与えることが分かっている。SNSで話題となった”The Dress”では、人によってドレスの色が異なって見えることが話題となった。これは照明光の推定の個人間の差が、ドレスの色の見え方に影響を与えたと考えられている。 本研究では、遺伝的な多様性を踏まえた、情報 [...]
障害者芸術に潜む倫理的葛藤:現場実践への質的調査を通じた実証的研究 芸術工学府 芸術工学専攻 本研究の目的は、障害者福祉における芸術活動の中で生じる倫理的葛藤の問題に対し、その現状を明らかにし、新たな理論構築を行うことである。具体的には、障害者芸術の支援に向けた全国的な活動の広まりや文化政策の展開を踏まえ、複数の障害者福祉施設で質的調査を実施する。その上で、海外の知見を取り入れつつ、障害者芸術の支援を意図する現場や政策が倫理的葛藤への対応策を見出すための拠り所となる指針を提示する。
昭和戦前期の社会運動と議会 人文科学府 歴史空間論専攻 本研究では、昭和戦前期、特に1932(昭和7)年5月から1945年8月における帝国議会の衆議院(以下、議会)の役割を、社会運動と議会の関係に注目することによって明らかにする。 1932年5月、当時の内閣総理大臣で立憲政友会総裁の犬養毅が海軍の青年将校に暗殺される五・一五事件が発生した。その後、1945年8月の終戦まで、既成政党(立憲政友会と立憲民政党)を基礎とする政党内閣が成立することはなかった。 [...]
「日中近代児童文学」の比較研究 地球社会統合科学府 地球社会統合科学専攻 20 世紀は「児童の世紀」とも称される。これはスウェーデンの女性評論家,教育者,婦人運動家であるエレン・ケイ(Ellen Karolina Sofia Key, 1849-1926)が 1900 年に出版した著作『児童の世紀』の タイトルに因んだ呼称である。児童も大人と同様に独立人格を有する一個の人間として新たに認識さ れることで、人々は「児童の精神生活」に改めて関心を寄せたのであ [...]