慣習における規範性の分析——認知科学と集団における行為の観点から—— 人文科学府 人文基礎専攻 私の研究は、慣習における規範性を集団的行為によって説明する新たな立場の構築を目指すものである。具体的には、大型類人猿とヒトの幼児の比較研究を行っている認知心理学者のマイケル・トマセロの研究や進化ゲーム理論による生物の慣習分析を、マーガレット・ギルバートの社会的慣習論へ接続することを試みます。
瞳孔径測定を用いた視覚ユーモア刺激における無害な逸脱理論の検証 人間環境学府 行動システム専攻 「笑い」,つまりユーモアの生起メカニズムにはいくつかの理論が提唱されているが,概ね2つの事象の間にある不調和が重要だと考えられている。無害な逸脱理論 (Benign Violation Theory: BVT) は予想からの逸脱に対し,それが無害 (Benign) だと判断されるとき,ユーモアが生起するとしたものである (McGraw & Warren, 2010)。これは言語的なユーモア [...]
ハインリヒ・マン文学におけるニーチェ受容 人文科学府 言語・文学専攻 本研究では20世紀ドイツの作家ハインリヒ・マン(1871-1950)におけるニーチェ哲学の受容を網羅的に分析する。 ニーチェの哲学は19世紀末以降のヨーロッパにおける文学のみならず、政治にも多大な影響を与えている。例えば、当時のニーチェ受容に見られる、新たな時代・新たな世界を希求する「第三の国」Das dritte Reichの思想が挙げられよう。もともと聖書の「ヨハネの黙示録」解釈に始まるこの思 [...]
口腔扁平上皮癌の腫瘍免疫におけるB細胞の関与と腫瘍抗原の同定に関する研究 歯学府 歯学専攻 口腔扁平上皮癌治療において、近年、PD-1抗体に代表されるように、免疫チェックポイント阻害薬などの腫瘍免疫を利用した治療法が臨床応用されている。免疫チェックポイント阻害薬は、主にT細胞を標的とした治療であり、これらのT細胞の活性化を誘導することで腫瘍の縮小を狙う。一方で、B細胞の腫瘍免疫における役割はほとんど分かっていない。 口腔癌患者の手術の際に切除した組織の一部を用いてsingle cell [...]
紛争後平和構築の倫理――自己観と共生観の考察―― 地球社会統合科学府 地球社会統合科学専攻 私たちは他者との繫がりによって生きている存在である。残忍な紛争が終わった「後」を生きる人々について考える時、このような前提は考慮に値しないのだろうか。人々の「繫がり」たるものが対立の要因であったならば、「繫がり」からの脱却が唯一の解決策なのだろうか。 今日世界では、国家間の対立だけでなく、民族や宗教の対立により数々の紛争が生じている。そして紛争終結後には、国連などの国際機関が現地での平和構築を主 [...]
電波観測による原始星周囲の階層構造の解明 理学府 地球惑星科学専攻 星・惑星系の形成過程を解明することは、天文分野における重要な課題である。星は、分子雲の中でも比較的密度が高い領域において、分子ガスとダストの重力収縮によって形成される。主降着期における円盤形成およびエンベロープ (原始星周囲の高密度なガスの塊)などの円盤周辺構造を理解することは、原始星の成長過程を明らかにする上で必要不可欠であり、理論・観測の両分野において重要な研究対象となっている。特に近年、世界 [...]
Anime Pilgrimages: Liminal Journeys in Contemporary Japan 人文科学府 人文基礎専攻 Anime Pilgrimage, an activity that involves visits to various sites related to anime by fans, reveals the intricate connection between pilgrimages and tourism, between religion and popular culture. Th [...]
母体免疫活性化による自閉スペクトラム症様病態誘発機序の解明とその改善法の創出 医学系学府 医学専攻 ASDは、遺伝的要因の他、母体感染等による免疫活性化(MIA)によっても発症するが、機序は不明である。MIAマウス産仔ではサイトカインIL-17aの発現が増加し、レトロトランスポゾンLINE1 (L1) の発現を誘導することを見出した。本研究では、このL1 mRNAの逆転写により生じるcDNAが、DNA結合性自然免疫受容体TLR9を介して恒常的に炎症反応を惹起し、ニューロン機能を障害するという独自 [...]