気候災害はどこから始まるのか ― 森林における降雨プロセス 生物資源環境科学府 環境農学専攻 森林は本当に豪雨を受け止めきれるのだろうか。森林は雨水を葉・枝・樹皮に一時的に保持し、地面への到達を遅らせると考えられている。しかし豪雨時にはその機能が限界に達し、水が短時間で地面へ移動する可能性がある。本研究では降雨特性に着目し、森林の雨水貯留と排水応答を明らかにする。
アリ寄生蜂における寄生戦略と関連する機能形態の進化の解明 生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 膜翅目は全世界で約15万種以上が記載され,大部分を他種に捕食寄生する寄生蜂が占める.寄生蜂は,多様な節足動物を寄主とし,寄主特異的な戦略を進化させることで多様化してきた.中でもアリを寄主とする寄生蜂は,アリの高度な防衛機構に対応するため,極めて特異な寄生戦略や形態を示す.このような生物は,生物の進化や相互作用の解明に格好の材料である.アリ寄生蜂の1群である,アリヤドリバチ亜科は全種がアリの幼虫の内 [...]
プロテオーム解析によるマウス初期胚の全能性基盤要素の同定 システム生命科学府 システム生命科学専攻 哺乳類ではたった一つの受精卵から個体が形成される。このように一つの細胞から一個体を形成できる能力を全能性といい、その性質を有する細胞を全能性細胞という。したがって全能性細胞は生命の源であり、その分子基盤を理解することは「生命とは何か」に対する知見をもたらす。本研究では着床前初期発生過程の細胞核を用いたプロテオーム解析から全能性制御に関与する要素の同定を目指す。
南大洋深海底における過去14万年間の炭酸カルシウム埋没・溶解史の復元 理学府 地球惑星科学専攻 氷期の約100 ppmに及ぶ大気CO2濃度低下の要因は,古気候学研究の重要な未解決問題である。南極周辺の“南大洋”深層における炭酸カルシウム(CaCO3)溶解に伴う海洋アルカリ度の増加は,その主要因の有力候補である。本研究では南大洋チリ沖で採取された堆積物中のCaCO3溶解強度を調査し,南大洋の各海域のCaCO3含量(質量%)文献値から南大洋CaCO3フラックスデータセットを構築し数値モデル研究と [...]
里山・森林点群を用いた意思決定支援指標の設計 芸術工学府 芸術工学専攻 近年、UAV LiDARや航空レーザ測量の発展により、森林・里山の三次元点群データを高精度に取得できるようになった。また、地面分類や樹高推定などの解析技術も発展し、樹高、林冠被覆率などの森林構造指標を広域で算出する研究が進んでいる。一方で、これらの解析結果を地域の森林管理や合意形成へどのように活用するかは十分整理されていない。本研究では、地面分類や高さ正規化条件が森林構造指標へ与える影響を検討する [...]
シカによる下層植生の衰退が土壌生態系に与える影響 -積雪の有無に着目して- 生物資源環境科学府 環境農学専攻 近年、急増するシカの過度な採食によりササ類などの下層植生の消失が深刻化している。下層植生の消失は、土壌生物群集の変化を介して土壌生態系機能を劣化させると考えられる。しかし、積雪の有無など土壌に影響を与えうる要因を考慮して検証した事例はなく、土壌生物群集と土壌生態系機能を同時に評価した事例もないため、具体的な保全対策が講じられていない。そこで本研究では、シカによる下層植生の消失が土壌生物群集の構造お [...]
シロヒメシンクイおよびその近縁種の分類とホストレース形成の実態解明 生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 リンゴの果実を加害するシロヒメシンクイSpilonota samseong (チョウ目ハマキガ科)には、リンゴを加害しない近似種2種(S. albicana、 S. prognathana)が存在する。これらは、斑紋や交尾器形態が互いに酷似しており、ホストレースの関係にある可能性を孕んでいる。また、S. albicanaはバラ科とツツジ科の2科の植物から記録があり、ホストレースや隠蔽種が含まれる可 [...]
セミ類の鳴音特性とその行動生態学的機能の解析 システム生命科学府 システム生命科学専攻 あらゆる生物は, その他の生物との相互作用において, 何らかの手段でコミュニケーションを行う. その中には鳴き声 (以下, 鳴音) を用いてコミュニケーションを行うものがいる. それらは鳥のように雌雄共に鳴音を交わすものと, カエルのようにオスのみが鳴音を発するものの2つに分けられる. このうちオスのみが鳴音を発する生物において, その主な役割は交尾のためにメスを誘引することである. 同時に鳴音は [...]