野﨑 信吾さん(理学府)の論文がThe Astrophysical Journal Letters誌にアクセプトされました。
おめでとうございます!
著者名
野﨑 信吾・犬塚 修一郎
所属学府
理学府 地球惑星科学専攻
論文タイトル
An Origin of Radially Aligned Filaments in Hub-filament Systems
ハブ・フィラメント系分子雲における動径方向に整列したフィラメントの起源
要約
近年の観測により、ハブ‐フィラメント系分子雲(HFSs)は大質量星や星団の主要な形成現場であることが明らかになってきました。いくつかのHFSでは、中心の高密度ハブへ向かって動径方向に整列した複数のフィラメントが特徴的に見られます。しかし、こうした放射状フィラメントの物理的起源は未解明のままでした。本研究では、砂時計型の磁場構造と密度不均一性をもつ分子雲に、高速の磁気流体力学(MHD)衝撃波が衝突することによって駆動される、新しいHFS形成メカニズムを提案します。私たちの3次元MHDシミュレーションでは、衝撃波の進行によって、熱的な臨界線密度をわずかに上回る線密度、長さ1–3 pc、幅0.06–0.08 pcの放射状フィラメント構造が形成されることがわかりました。高密度のフィラメントガスは、ハブ中心に向かって増加する1–4 km s⁻¹の内向き速度を示す一方、周囲の低密度フィラメント間のガスは、半径にかかわらず低速のままです。ハブへの質量降着は高密度フィラメントを通じて流れ込みます。フィラメント形成は、湾曲した磁力線上で生じる斜め衝撃(oblique shocks)によって引き起こされます。その結果、衝撃後領域では接線方向の磁場が増幅し、磁場に導かれた流入(magnetically guided inflow)が誘発されます。また、衝撃面の相互作用がリヒトマイヤー–メシュコフ不安定性(Richtmyer–Meshkov instability)に類似した密度揺らぎの増幅を引き起こし、衝撃層が複数のフィラメントへと分裂することが示されました。本論文で扱う過程は、放射状に整列したフィラメントの形態と、HFSで観測される選択的な質量降着の両方を説明します。シミュレーションの結果として得られた星形成効率(SFE)は約4%であり、衝撃波によって駆動される分子雲の構造進化がSFEを数パーセント程度に制限する可能性が示唆されます。
ジャーナル名
The Astrophysical Journal Letters
関連するSDGs
SDGs 4 (質の高い教育をみんなに)、 SDGs 9 (産業と技術革新の基盤を作ろう) 、
SDGs 17 (パートナーシップで目標を達成しよう)
喜びの声
理学府D3の野﨑です。星が生まれる現場の構造形成を、大規模な3次元MHD数値シミュレーションで調べた研究です。大質量星や星団の形成現場として知られる「ハブ・フィラメント系分子雲」に見られる、中心へ向かって放射状に伸びるフィラメント状ガス構造が、衝撃波と磁場の相互作用によって形成されることを明らかにしました。さらに、その速度構造や磁場構造も示し、星形成がどのように制御されるかを議論しました。興味のある方は下記URLからご確認ください。

観測されたハブ・フィラメント系分子雲と本研究のシミュレーションで形成された構造の比較。
左は実際に観測されたハブ・フィラメント系分子雲、右は本研究の3次元磁気流体数値シミュレーションで形成された構造を示しています。どちらも、中心の高密度領域へ向かって複数の細長いガス構造(フィラメント)が放射状に伸びる特徴を持っています。本研究は、このような特徴的な構造が、曲がった磁場をもつ分子雲に高速の星間衝撃波が作用することで形成されうることを示しました。