2025年度の院生融合プロジェクトに採用されたお二人に、このプロジェクトについて様々なことをお聞きしました。
是非ご覧ください!
【共同研究者名】
PRATAMA DENNY RIEZKIさん(地球社会統合科学府 地球社会統合科学専攻)
肖 楊光 さん(人間環境学府 都市共生デザイン専攻)
【共同研究タイトル】
Inclusivity and Inequality: Examining Built Environment and Marginalized Groups’ Strategies for Equitable Public Health in Fukuoka City
包括性と不平等:福岡市における公平な公衆衛生のための構築環境と周縁化集団の戦略の検討
【共同研究概要】
本研究は、福岡市吉塚・箱崎における周縁化されたコミュニティと建築環境の関係、およびそれが公衆衛生問題におけるコミュニティのレジリエンスに与える影響を検証する。外国人や移民は、社会文化的・制度的・空間的要因により、同市において周縁化された集団である。しかし吉塚には、外国人を支援する市場が存在する。箱崎には、ムスリムコミュニティのための空間を提供するモスクがある。本研究は、都市における公衆衛生と公平なアクセスに関して、構築された環境と周縁化された集団のレジリエンスの相互作用を探求する。

以下 PRATAMA DENNY RIEZKIさん→DP、肖 楊光 さん→XY
設問1. 共同研究を始めるきっかけは?
DP: それは、共通の研究関心と「建築環境」、「レジリエンス」、「公衆衛生」に関する質問について Slack を通じて議論することから始まりました。議論を通じて、私たちの研究方法は互いに利益をもたらし、補完し合うことができることを学びました。私たち自身も移民なので、研究の主題も私たち二人にとって主観的な意味を持っています。
XY: 私たちは SPRING プログラムの Slack 上で、「建成環境」「都市の健康格差」「マイノリティのレジリエンス」といったテーマに共通の興味を持っていることがわかり、対話が自然と始まりました。私は都市・空間計画を専門としており、相手は文化人類学という質的研究の分野から来ており、手法や視点が大きく異なっていましたが、むしろそれが魅力だと感じました。共同研究の過程では、定量的空間分析と人類学的観察を組み合わせることで、外国人居住者の健康や居住空間へのアクセス不平等を多面的に捉えることができると確信しました。この点こそが、私にとって本研究プロジェクトを始める最も重要な原動力であると考えています。
設問2.院生融合プロジェクトに採択された感想は?
XY: 選ばれたと聞いた時は、とても光栄で嬉しかったです。自分たちの研究テーマが社会的に意義あるものとして認められたと実感し、同時に成果に責任を持つ必要があると感じました。この機会を通じて、分野横断的な研究の楽しさと難しさの両方を経験できると確信しています。
DP: もちろん、とても幸せな気分です! SPRING 事務局が統合研究プロジェクトの提案を受け入れたことを大変光栄に思います。しかし同時に、インパクトのある有意義な結果をもたらす信頼できる研究を提供する責任を感じています。
設問3.現在の共同研究の進捗状況は?
XY: 現在までに、福岡市内の外国人住民約 175 人からのアンケートと地理位置情報を収集しました。また、博多区と東区(福岡市)にて現地訪問・聞き取り調査を実施し、公共空間の利活用状況や健康資源へのアクセスに関する事例も蓄積しています。さらに、提出した文書照会に対する政府機関や公的機関からの回答も待っているところです。今後はこれらのデータの統合的分析に進んでいく予定です。
DP: 現在、私は観察とインタビューから得た定性的なデータを分析しています。現在、書面による問い合わせに関する政府機関や正式機関からの返答も待っています。全体的な進捗は約 50〜60%です
設問4.共同研究実施中に得た新たな「気づき」は?
DP: 研究の中で、福岡市で多くの移民と出会う機会がありました。この街での彼らの苦難、決意、希望、楽観主義の物語は、私に本当にインスピレーションを与えてくれます。私にとって、都市の中で交流するのは人間だけではなく、都市は住民と交流し、状況に関係なく生き続けるための希望、ネットワーク、回復力を共同で生み出します。
XY: 「建成環境」が単なる物理的な空間ではなく、個人の文化的背景や社会的ネットワークと密接に関係していることを現場で実感しました。たとえば、公園や市場といった場は単なる施設ではなく、社会的排除を経験している人々にとってレジリエンスの空間でもあります。相手の人類学的視点と組み合わせたことで、数値には表れない「意味」を捉えることができました。
設問5.計画(申請)時点では思い至らなかった、共同研究の難しさや厳しさは?
DP: ひとつの課題は、私たちが通らなければならない形式的な手続きです。これらの課題を通して、日本で調査研究を行う上で多くのことを学ぶことができました。もっとも、フィールド調査の実施に厳格な手続きを必要とする場所もありましたが、その一方で必要としない場所もあり、温かいご対応とご支援に心より感謝しております。
XY:データ収集の倫理的配慮(特に位置情報)や、行政機関・NGO へのアプローチ、現場での許可取得の難しさなどが想定以上でした。日本社会における研究倫理や公共空間の扱いについて、フィールドワークを通じて深く学ぶことができました。

設問6.指導教員の先生方、研究室の周りのメンバーの反応は?
XY: とても前向きに応援してくれています。特に私の研究室の先生は、都市空間とマイノリティ研究の専門家なので、アドバイスが的確で、今後の発展にも期待してくれています。研究室の仲間も翻訳やデータの相談に協力してくれました。
DP: 私の上司と研究室の友人は皆、書類が完成していることを確認し、提案やアドバイスを提供します。
設問7.実際の共同研究の進め方は?(オンライン、研究室に集まって、など)
XY: LINE や Slack などオンラインツールを活用しつつ、できる限り現地訪問や対面ブレストも行いました。フィールド調査では私が地理情報の管理と分析を、相手が聞き取りと観察記録を中心に担当しました。
DP: また、研究を支援する研究サポーターを募集する必要もありました。藤田さんとジョーさん、彼らがいなければ、計画通りに研究を進めることはできません。研究現場を訪問し、1 ヶ月間フィールドワークを行います。アンケートによる調査を行い、インタビューでは半構造化的な質問をします。私たちはスマートフォンを使ってジオタグを作成し、五感を使って建築環境を観察し、体験します。
設問8.研究費予算の使い道は?追加の予算があったら何ができた/したい?
XY: 研究補助者への謝金、交通費、GIS ライセンスに活用しました。もし追加予算があれば、定点観測機材(カメラ・センサー)や、外国人コミュニティへの継続支援、さらにデータ解析の専門家への外注も検討したいです。
DP: 移民の移動のビッグデータ、ジオタグ付け用のガジェットの提供、集中的なフィールドワークに充てたいと思います。
設問9. この共同研究で学会発表や論文の執筆の可能性は?何パーセント?
XY: 非常に高いと思います。現段階でも学会投稿に向けて準備を始めており、共著論文も進行中です。80〜90%の確率で発表・掲載できると考えています。
DP: この研究が発表され、出版される可能性は十分にあると思います。私の意見では 90%です。私たちは最善を尽くします。
設問10.この共同研究の今後の展望・抱負は?
XY: 福岡市にとってよりインクルーシブでレジリエントな都市環境の形成に向けて、政策提言を目指したいです。また、他都市(大阪、東京など)との比較研究や、災害時の脆弱性にも着目した応用展開も検討しています。
DP: また、この調査結果が、福岡市・福岡県の移住者の建築環境の改善や生活の質の向上に寄与し、すべての住民にとってより公平でインクルーシブな都市の実現に貢献することを期待しています。
設問11.お二人それぞれの将来の夢、目指す人物像は?
DP:これからも知識を生み出し、科学界だけでなく社会全般に貢献していきたいです。私は、影響力のある研究を行い、有意義な結果を一般の人々に広めることで、真の貢献をしたいと考えています。
XY: 研究を通じて社会的課題に貢献し続ける実践的な研究者になりたいです。特に「空間と人間の関係」に関心があり、都市計画の中に人間の声を反映できる研究者を目指しています。

設問12.プログラム生の後輩へ、院生融合プロジェクトや共同研究にチャレンジする事へのメッセージをどうぞ。
DP: とにかく、頑張ってください! 将来のパートナーと出会い、共通の興味や共通の研究テーマを見つけたら、最後までやり遂げる必要があります。この旅は、知的だけでなく、個人の成長の面でもやりがいのあるものになると信じています。
XY:違う分野の人との共同研究は最初は戸惑うこともありますが、異なる視点が加わることで新しい発見があります。思い切って挑戦してみてください!