野﨑 信吾さん(理学府)の論文がThe Astrophysical Journal誌にアクセプトされました。
おめでとうございます!
著者名
野﨑 信吾・福島 肇・徳田 一起・町田 正博
所属学府
理学府 地球惑星科学専攻
論文タイトル
Tracking Star-Forming Cores as Mass Reservoirs in Clustered and Isolated Regions Using Numerical Passive Tracer Particles
トレーサー粒子に基づいたクラスターおよび孤立領域における質量供給領域としての星形成コアの追跡
要約
星形成コアの物理的性質や乱流が原始星の質量供給領域に与える影響を理解することは、星形成研究において極めて重要である。 本研究では、乱流強度rms Mach=2,10の条件下で、クランプスケールの数値シミュレーションにトレーサー粒子を実装した。 観測的研究で用いられるコア同定手法とは異なる、原始星に落下するトレーサー粒子に基づく新しい手法を用いて、260個の星形成コアをシミュレーション結果から同定した。その結果、星形成コアは高密度領域と必ずしも一致するわけではなく、複数の星が近接して存在する場合、ガスは選択的に原始星に降着し、星形成コアは断片化した構造になることが明らかになった。 また、星形成コアから凸包コアを算出し、その充填率を定義した。乱流強度に関わらず、充填率の低い凸包コアにはより多くの原始星が存在し、質量およびサイズも大きい傾向にあった。これは、孤立した領域のコアよりも、密集した領域のコアの方が質量およびサイズが大きいことを示している。したがって、充填率は孤立した星形成領域と密集した星形成領域を区別する重要な指標となり、密集した領域における星形成プロセスを解明する手がかりとなる可能性がある。また、ほとんどの凸包コアは自己重力によって束縛されていることも分かった。しかし、乱流強度rms Mach=10モデルでは、rms Mach=2モデルと比較して、低質量で非束縛の凸包コアが多く存在していた。特に、rms Mach=10モデルでは、凸包コアの16%が非束縛であり、これはinertial-inflowモデルによって説明できる可能性がある。本研究結果は、乱流強度が星形成コアの質量や重力束縛度合いに与える影響を示唆している。
ジャーナル名
The Astrophysical Journal
関連するSDGs
SDGs 4 (質の高い教育をみんなに) SDGs 9 (産業と技術革新の基盤を作ろう) SDGs 17 (パートナーシップで目標を達成しよう)
喜びの声
理学府D1の野﨑です。
星形成領域に関する大規模数値シミュレーションを実施し、ガスがどのように星に降着するのかを定量的に調べた研究です。
興味のある方はぜひ関連リンクからご確認ください。