Alumni 修了生紹介

【フリドリッヒ バウムゲーテルさん】Comfort Zoneから抜け出して、新たな可能性に挑む

フリドリッヒ バウムゲーテルさん

九州大学法学研究院の助教

2013年 ベルリン自由大学・法学府卒業
    (第一司法国家資格(ドイツの司法試験受験に必要な資格))合格
2013年 司法研修所(ベルリンの上級ラント裁判所)修習生入学
2015年 司法研修所(ベルリンの上級ラント裁判所)修習生
    (第二司法国家資格(ドイツの司法試験)合格)卒業
2015年 Hengeler Mueller 法律事務所(フランクフルト)採用
2016年 Hengeler Mueller 法律事務所(フランクフルト)休職
2016年 九州大学・法学府 修士課程入学
2017年 九州大学・法学府 修士課程卒業
2017年 Hengeler Mueller 法律事務所(フランクフルト)復職
2018年 Hengeler Mueller 法律事務所(フランクフルト)退職
2019年 Gleiss Lutz法律事務所(デュッセルドルフ)採用
2021年 九州大学・法学府 博士後期課程入学
2022年 Gleiss Lutz法律事務所(デュッセルドルフ)退職
2022年 SPRING支援開始
2024年 九州大学・法学府 博士後期課程卒業
2024年 九州大学・大学院法学研究院 協力研究員受入
2025年 九州大学・大学院法学研究院 協力研究員終了
2025年 九州大学・大学院法学研究院 助教

現在に至る 

▷在籍時 所属学府・専攻
九州大学法学府 法政理論専攻


博士課程への進学を決めた理由や、その背景にあった想いや経験を教えてください。
博士号取得を目指すかどうか、長い間悩みました。LL.M.(修士(法学))を取得した後、しばらくドイツに戻って弁護士として働くことに決めましたが、ある時点で、自分の学問的キャリアが完結していないと感じるようになりました。日本で博士号を取得する機会は魅力的でしたし、SPRINGによる経済支援の存在は、思い切って博士課程に入学する決断を後押ししました。


▷博士課程で得た経験・スキル・ネットワークのうち、現在のキャリアに特に活かされていると感じるものは何ですか?
  
博士課程での経験を通じて、自主性とそれに伴う責任の重要性を学びました。研究者は自らのプロジェクトを推進し、成功裏に完了させる責任を負っています。「一歩踏み込む」という言葉に表れるような忍耐力と粘り強さもまた、重要な教訓でした。さらに、自身の研究領域に閉じこもらず、隣接分野や全体的な動向に常に注意を払い鋭い観察眼を持つことも重要だと考えます。全く異なる分野の些細な変化や進展でさえ、自らの研究領域に波及効果をもたらす可能性があるからです(いわゆる「バタフライ効果」です)。


▷博士課程で直面した課題や困難にはどのようなものがありましたか。それをどのように乗り越えたのか、ぜひ教えてください。

最大の課題は、自身の抽象的な考えを具体的で独創的な研究テーマに落とし込むことで、予想以上に時間を要しました。最終的には基本に立ち返り、自分が何を知り何を証明したいのかを明確にすることが大いに役立ちました。指導教員との相談も非常に有益で生産的でした。加えて、学術レベルでの日本語に不慣れなため、言語面でも困難を確かに感じましたが、周囲の皆さんと積極的に話すことで、何とか乗り越えたように感じています。


▷博士号取得やSPRINGでの活動を通じて、キャリア観や研究への向き合い方にどんな変化がありましたか?

学界の仕組みについて理解を深め、学術キャリアを代替的な進路として追求する選択肢を得られたこと、あるいは両方の世界(可能な範囲で)を組み合わせる道も開けたことはとても有益でした。


▷博士課程進学やSPRINGへの応募を検討している後輩に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

博士号取得を目指すことは、自分の居心地の良い領域(comfort zone)から抜け出し、新たな挑戦に飛び込む絶好の機会だと考えます。学術界の価値観や倫理観に忠実でありつつ、好奇心を失わず、新しいアイデアや刺激に心を開き、科学の分野で自らの限界を押し広げるとともに、大学や都市、国といった枠を超えて空間的にも視野を広げていくことを、ぜひお勧めしたいと思います。