塩塚 朗さん
東京エレクトロン九州株式会社
2016年 東京工業大学工学部国際開発工学科卒業
2018年 東京工業大学理学院化学コース修士課程修了
2020年 九州大学大学院総合理工学府 物質理工学専攻博士後期課程入学
2021年 SPRING支援開始
2023年 九州大学大学院総合理工学府 物質理工学専攻博士後期課程修了
2023年 理化学研究所 開拓研究本部 橋本分子合成機能研究室 特別研究員
2025年 東京エレクトロン九州株式会社プロセス技術部
現在に至る
▷在籍時 所属学府・専攻
総合理工学府 物質理工学専攻
▷博士課程への進学を決めた理由や、その背景にあった想いや経験を教えてください。
博士課程への進学を決めた背景には、明確な一つの理由があったわけではありません。進学を考えていた当時、納得がいくまで基礎研究に向き合ってみたいという思いを漠然と抱いていました。一方で、すでに企業に就職しており、このまま会社員として働き続けるのか、大学院生として研究の道に戻るのかで悩んでいました。さまざまに考えた末、人生の選択に余裕のある若いうちに進学したほうが、将来後悔が少ないと考え、博士課程への進学を決意しました。
▷博士課程で得た経験・スキル・ネットワークのうち、現在のキャリアに特に活かされていると感じるものは何ですか?
博士課程では研究解明を目的に、自身の専門である有機化学にとどまらず、光化学や量子計算化学といった分野にも挑戦しました。当時は試行錯誤の連続でしたが、視野を広げて考える姿勢が身についたと感じています。現在は専攻とは畑違いの半導体製造に関する業務に携わり、知識や経験の習得に日々奮闘していますが、博士課程で複数分野を横断して研究に取り組んだ経験のおかげで、異分野ならではの視点を活かしながら前向きに業務に向き合い、刺激のある毎日を送っています。
▷博士課程で直面した課題や困難にはどのようなものがありましたか。それをどのように乗り越えたのか、ぜひ教えてください。
専門である有機化学の分野で、ある反応開発に半年間取り組みましたが、思うような結果が得られず、精神的に苦しい時期がありました。そのような中でも根を詰めすぎないよう心がけ、以前から試してみたかった反応や、思いついた反応に挑戦することで気持ちを切り替え、実験に向き合う楽しさを保つよう意識していました。また、直接ご指導いただいた教員の方の研究面・精神面での支えもあり、悲観することなく、自分の研究に向き合い続けることができました。
▷博士号取得やSPRINGでの活動を通じて、キャリア観や研究への向き合い方にどんな変化がありましたか?
研究の幅を広げ、深めていくために、特定の専門分野の知識や経験にとらわれず、他分野の視点を取り入れることを大切にしてきました。博士課程の研究では、有機化学だけでは十分に解明できない課題に直面し、光化学や量子計算化学といった分野の考え方を取り入れることで、研究を前進させることができました。こうした経験から、分野の違いを前向きに受け入れ、柔軟に考える姿勢が身につき、現在の開発業務においても、偏りのない視点で取り組むことを心がけています。
▷博士課程進学やSPRINGへの応募を検討している後輩に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。
私の経験で恐縮ですが、博士課程を振り返ると、博士号取得までの過程では体力面・精神面の両方で苦労することが多くありました。一方で、面白いと感じられる研究にとことん向き合い、教員の方々と活発に議論しながら研究を深められた貴重な期間でもありました。その成果として学術論文という形で最先端の研究に貢献でき、非常に充実した研究生活だったと感じています。興味のある研究を突き詰めたい方にとって、博士課程は他に代えがたい経験になると思います。