日本海における近慣性内部波の伝播メカニズムの解明 総合理工学府 大気海洋環境システム学専攻 世界中の海洋は、2000年もの時間をかけて表層から深層を循環している。この循環の駆動には内部波に伴う鉛直混合が関わっているが、特に風によって励起された内部波が深海に伝わり、混合域を形成する過程には不明な点が多い。日本海は潮流が弱いため、風が励起した内部波を観測するには最適な環境である。そこで、本研究では日本海の内部波が励起され、深層へ伝播する過程の解明を目指している。
中期三畳紀のパンサラッサ海遠洋域における突発的湿潤化とそれに対する生物応答 理学府 地球惑星科学専攻 三畳紀は二度の大量絶滅に挟まれ、古生代型動物から現代型動物への転換期にあたる重要な期間である。中期三畳紀は安定した乾燥気候が低〜中緯度に広がっていたと考えられてきたが、ヨーロッパの一部地域からは、後期アニシアン(ペルソニアン) と後期ラディニアン(ロンゴバルディアン)に、湿潤化したことを示す地層記録が残されていることが明らかになってきた。そして、これらの時代では、遠洋性・外洋性生物の急激な多様化が [...]
国際海運活動を組み込んだ新たなグローバルサプライチェーン分析の開発とその実証分析 経済学府 経済システム専攻 グローバルサプライチェーン(GSC)の国際物品貿易によるCO2排出量は世界CO2排出量の23%を占めており、GSCの再構築によるCO2排出削減が急務となっている。しかし、GSCの発達による生産と消費の地理的な分離により、GSCの国際海運への依存度が高く、GSCの脱炭素化政策は国際海運活動を取り入れ、総合的に評価する必要がある。本研究は、国際海運活動の環境負荷を考慮に入れたGSC全体の環境負荷を評価 [...]
微細プラスチック粒子のベクター効果:生態影響評価に向けた数理モデルの構築 生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 現在、水環境ではプラスチック粒子(マイクロプラスチック、ナノプラスチック)による生物影響が懸念されている。先行研究により、プラスチック粒子が化学物資の生物体内への取り込みを加速させることが報告されており、さらに、より微細なプラスチック粒子は魚類の消化管やえらから体内に取り込まれる可能性が見出されている。本研究では、魚類におけるプラスチック粒子のベクター効果を定量的に評価し、プラスチック汚染の生物影 [...]
生殖幹細胞を利用した小型希少魚類保全法の開発 生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 希少魚類の保全にはこれまで生息域の環境維持等による生息域内保全が行われてきた。しかし生息域内保全のみではコストや遺伝子汚染への対策の観点から改善が求められている。 近年水産増殖分野において次世代水産養殖技術として代理親魚技術が注目を集めている。この技術はドナーとなる種の生殖幹細胞を別の代理親魚となる魚類の生殖腺に移植することでドナー魚の配偶子を得る手法である。 この技術の注目すべき点として産生され [...]
擬似全球温暖化気候に対する東アジア太平洋地域の夏季の台風活動および関連降水の応答 理学府 地球惑星科学専攻 この研究は、東アジア・太平洋地域における夏季の熱帯低気圧(TC)および関連する豪雨に対する地球温暖化の潜在的影響を明らかにすることを目的としています。本研究は、過去の気候データおよび数値シミュレーションモデルを用いて、過去のTCの傾向を分析し、様々な気候シナリオ下での将来の挙動を予測します。革新的な試みとして、東アジア全域にわたる気候モデルシミュレーションの結果を改善し、TCの挙動を正確に描写する [...]
Seawater Carbon Dioxide Dynamics in Stratified Shallow Coastal Waters: Field Measurement and Numerical Modeling in the Yatsushiro Sea, Japan 工学府 海洋システム工学専攻 Shallow coastal waters have attracted wide attention in recent years due to their strong carbon sequestration capacity. However, the complex carbon dioxide (CO2) dynamics in the water column makes it [...]
海産魚モデルを用いた魚類不妊化および新育種技術の開発 生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 将来、水産養殖業では魚類の不妊化―妊性統御技術が重要となる。不妊化した養殖魚は次世代を生産しないことから、自然環境への遺伝子攪乱防止、および優良品種の知的財産保護に繋がる。そこで、海産硬骨魚のモデル魚としてカタクチイワシを用いて原理の異なる複数の不妊化手法を確立する。その配偶子の有無や不妊化メカニズムを解析し、特性に応じた利用法を提案する。さらには、生産現場への社会実装を目的として、妊性回復技術を [...]