PICK UP! コース生紹介

院生融合プロジェクト 学生インタビュー(前編)

令和5年度の院生融合プロジェクトに採用されたお二人に、このプロジェクトについて様々なことをお聞きしました。是非ご覧ください!


(左)理学府 金子 甲二郎さん (右)システム情報科学府 Tham Yik Foong(タク イツホウ)さん

Q1. 共同研究を始めるきっかけは?
創発科目を通して、幾何学的制約によってバクテリアの渦秩序が安定化される現象に関する数値シミュレーションを行っているKojiroの現在の研究と、Thamの以前の学位論文(Using Reinforcement Learning to model Collective and Adversarial Behaviours with Active Brownian Particles)の間に共通点があることに気づきました。Slack上でオンラインディスカッションを行い、共同研究のために今後連絡を取り合うことにしました。そして、自己駆動する棒状粒子系と賢いエージェントの組み合わせを調べることで、アクティブマターの自己組織化に洞察を与える力学系を生み出せると考えました。オフラインでミーティングを行った後、私たちはこれまでの研究テーマを統合し、統一的な枠組みとして取り組むことにしました。

Q2.院生融合プロジェクトに採択された感想は?
現在の共同研究に繋がるアイデアは、元々はただの思いつきに過ぎませんでした。院生融合プロジェクトは難しそうで私たちにとってチャレンジングなものでしたが、別分野の研究者との共同研究に取り組めるというのは SPRING事業の学生にとって絶好の機会だと思ったので応募することにしました。採択を聞いてもちろん喜びましたし、同時に挑戦することが大切なのだと感じました。

Q3.現在の共同研究の進捗状況は?
進捗はおよそ20-30%です。初めに我々の研究に新規性があることを確かめるために改めて文献調査を行いました。次にお互いの知識やデータを共有しました。現在、トライアンドエラーを繰り返しながら面白い結果を探す段階に来ています。

Q4.共同研究実施中に得た新たな「気づき」は?
金子: 物理学の研究を行っていると、他分野の考え方や手法を取り入れた研究をよく見かけます。また自身の興味関心から他分野の勉強に手を出して、その一端に触れることもありました。しかし、他分野の研究者と共同研究を行うことは更なる洞察を与えてくれました。自分のペースで学ぶことも大切ですが、他の研究者と協働することも同じく大切なのだと思います。
Tham: 快適な領域から一歩踏み出して自分の専門分野から少し外れたことに取り組むことは、本当に新鮮です。それによって物理学の新たな一面、特にアクティブブラウン粒子とその自己組織化の研究を知ることができました。結局のところ、自己組織化は私の主要な研究対象における中心的なテーマであり、異なる視点から見ることで、多くの洞察を得ることができました。

Q5.計画(申請)時点では思い至らなかった、共同研究の難しさや厳しさは?
このプロジェクトに申請する際、私たちが遭遇した最大の難関は、コラボレーションを決定する数日前に、すでに締め切りを過ぎていたことでした。Thamが日本語を話せないためKojiroがSPRING事務局にメールを送りました。幸いなことに、後日2次募集が行われることを教えてもらいました。この2次募集があった事は、偶然とは言え、自分たちにとって非常にラッキーなことでした。採択後もKojiroの英語力が低いためにコミュニケーションに苦労することは多いです。研究の際には、相手に伝えようとする気持ちを大切にすることで乗り切っています。

Q6.指導教員の先生方、研究室の周りのメンバーの反応は?
指導教員とは事前に相談済みだったので、祝福してくれました。しかし、研究室の周りのメンバーはまずは驚いた様子でした。SPRING事業の前は共同研究に取り組む様子を周りに見せていなかったので、突然だと感じたのだと思います。SPRING事業は同コースの学生と共同研究をするとても良い出発点になると思います。

 

後編へ続く…