Alumni 修了生紹介

【西岡 怜那さん】演奏と研究から問いを生み、音楽の未来をひらく

西岡 怜那さん

九州大学・九州産業大学で非常勤講師
音楽活動

2017年 オーストリア国立ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科卒業
2021年 オーストリア国立ザルツブルク・モーツァルテウム大学大学院
     ピアノソリスト科卒業
2021年 九州大学大学院芸術工学府 芸術専攻博士後期課程入学
2021年 SPRING支援開始
2025年 九州大学大学院芸術工学府 芸術工学専攻博士後期課程修了
現  在 九州大学(2024年〜)九州産業大学(2025年〜)で非常勤講師を務めつつ
     演奏活動を始め、ピアノ指導・コンクール審査など幅広く音楽活動を行っている

 

▷在籍時 所属学府・専攻
芸術工学府 芸術工学専攻


博士課程への進学を決めた理由や、その背景にあった想いや経験を教えてください。
ピアノ演奏の研鑽のため、高校卒業後にオーストリアの大学へ留学し、2021年2月まで同国の大学院に在籍していました。ヨーロッパで演奏家としてのさらなる研鑽を望む一方で、2020年以降のコロナ禍により音楽を取り巻く環境は一変し、同時に音楽の社会的な位置づけを改めて考える契機となりました。あまり掘り下げられてこなかった音楽と社会の関係、そして音楽の持つ価値を捉え直す必要性を感じ、研究の道へ進むことを決意しました。


▷博士課程で得た経験・スキル・ネットワークのうち、現在のキャリアに特に活かされていると感じるものは何ですか?
  
博士課程では、自身の実践を言語化し、他者と共有する力が身についたと感じています。研究を通して培った論理的思考や発信力は、演奏や教育の現場にも活かされています。博士論文のテーマである音楽コンクール研究は、演奏の評価や価値の在り方を問い直す契機となり、自身の演奏観にも新たな視点をもたらしました。研究を通して関わらせていただいた多様な分野の方々との出会いも大きな財産です。


▷博士課程で直面した課題や困難にはどのようなものがありましたか。それをどのように乗り越えたのか、ぜひ教えてください。

博士課程では、演奏家としての感覚的な実践と、学術研究に求められる客観性・論理性との間で、思考のバランスを取ることに苦慮しました。答えの見えない問いに向き合う中で、指導教員の西田先生をはじめ、仲間や音楽関係者の方々との対話を重ね、自分の言葉で考え直す姿勢を培いました。成果が見えずもどかしい時期もありましたが、そうした試行錯誤の積み重ねが音楽と社会を結ぶ視点や人としての忍耐力を育ててくれたと感じています。


▷博士号取得やSPRINGでの活動を通じて、キャリア観や研究への向き合い方にどんな変化がありましたか?

博士号取得およびSPRINGでの活動を通して、研究は社会とつながり、その中で還元されていく営みであると改めて認識するようになりました。演奏や教育の現場で研究を通じて培った力を活かす経験は、自身のキャリア観を、専門性を深めながら社会にひらいていくものとして形づくりました。問いを持ち続ける姿勢そのものが、現在の活動を支える軸となっています。


▷博士課程進学やSPRINGへの応募を検討している後輩に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

博士課程は研究を深める場であると同時に、自分の視野を大きく広げてくれる環境です。SPRINGは、その過程を制度として支える枠組みであり、研究に向き合う時間と機会を与えてくださいました。分野を越えた研究者との交流や多様なプログラムを通して、研究や実践を多角的に捉え直す経験を得ることができました。自身の問いに向き合う過程は、今後の進路を考える上でも確かな礎になると思います。皆さんの挑戦を応援しています。