PICK UP! コース生紹介

PICK UP! (vol.7) Yaya Yaoさん/芸術工学府

未来創造コースには、300名を超える多彩な学生が在籍しています。
「PICK UP!」 では、ユニークな活動をおこなう学生に焦点をあて、学生自らの視点で自己の実績・活動を紹介してまいります。

第7回目は、芸術工学府のYaya Yao(D2)さんです。


詩の創作活動と研究に共通点はある?

私は『Flesh, Tongue』の著者であり、『Educators Equity Companion Guide』の主執筆者です。マギル大学でBA(リベラルアーツ)の、トロント大学でBEd(教育学)の学士号を取得後、オタワ大学で修士号(教育学)を取得しました。

私はカナダのティカロント(植民地時代のトロントの呼称)で生まれ育ちました。中国系の多言語家族の中で育った私にとって、詩は他とは違うものであり、常に私を魅力してきました。多くの詩が言語を使った遊びの融合であり、自由を感じることができ、詩は、私が自分らしくいられる唯一の表現方法でした。

研究と詩はまったく無関係だと考える人もいます。優れた研究とは、客観的、体系的、再現可能であると定義されることが多いですが、詩は完全に主観的で、人間の感情の産物であり、不規則で頼りないものだと考えられています。しかし、詩人兼教育者、かつ研究者でもある私は、詩と研究は根本的なところでつながっていると考えています。

どちらの場合も、文章は独自の内面的論理を持たなければなりません。詩を書く場合、数行で一つの世界を作り上げることができます。インパクトを与えるには、その世界が内面的に一貫している必要があり、たとえそれをバラバラにすることになったとしても、それまでの一貫性が高ければ高いほど、その破壊力はより意図的なものになります。

詩は、誰かが経験する世界を覗く窓にもなります。時にドラマティックで、見慣れたはずのものが見知らぬものなるような微妙な変化もあります。それは、元気を、時には癒しさえも与えてくれる幻惑です。同様に研究も、ある現象に対する視点を提供することで、見慣れたものを見知らぬものとし、定義された思考体系を適用することで世界を構築することができます。研究においては通常、このようなことが明確に概説されていますが、詩においてはあまりあからさまに喚起されることはありません。

私は何を書くにしても、具体的なことを提案できるだけの安定性と信頼性、読者を惹きつけるだけの柔軟性と謙虚さを提供する方法で、読者を導くことを目指しています。

私はこれまで20年にわたり、カナダ、香港、日本、タイの学校や大学、NGOで、幼稚園児から大学院生までを対象としたカリキュラムを開発し、指導してきました。現在は、教師と学習者の自律性とつながりをサポートする創造的なプロセスを通して、日本の英語教育を向上させることに重点を置いた研究をしています。私の博士課程プロジェクトは、日本の高校英語教育における探索的実践(EP)の可能性について研究しており、さらに、トランスランゲージングのアートベースによるアプローチが、アイデンティティの形成と関係性をどのように育むことができるかについても研究しています。

この博士課程の研究は、高校英語の教師と生徒の教室での生活の質をサポートすることを目的としています。探索的実践(EP)とは、“謎”、つまり教師と生徒が不思議に思うことに焦点を当てた、新しい授業研究の方法です。EPは私たちに、問題に対する解決策を検証するのではなく、教室や学校の状況について理解を深めることを求め、グロース・マインドセット(成長思考)の応用を実存的な方法で研究に広げています。このプロセスを通して、EPはまた、コミュニケーションと互いのつながりをより深めるよう私たちに求めています。

このような意味で、私は今後、他のMIRAIコースの研究者たちと共同研究することを楽しみにしています。