PICK UP! コース生紹介

PICK UP! (vol.3) 本田 陽彦さん/人間環境学府

未来創造コースには、300名を超える多彩な学生が在籍しています。
ここでは、ユニークな活動をおこなう学生に焦点をあて、学生自らの視点で自己の実績・活動を紹介してまいります。

第3回目は、人間環境学府の本田 陽彦(D3)さんです。

 

淨かな心で逝けますか?自他の抜苦与楽の成就を願って

まだ鼻垂れ小僧の頃である。夜に転んで空を仰いだ。星屑のひらけと即時的に、自己存在の自明性がこわれる原体験。記憶の限り、ここが探究のゼロポイント。人間とは何か、なぜ人間は苦しむのか…実存的な問いを喉元に突きつけられて生きているように思われる。

探究の道すがら、芸道(吟剣詩舞道*準師範、日本一)、瞑想、武道、そして学問に身を投げ入れてきた。散乱して見えるが、私においては布置のような連関が感じられるときがある。自力の背後にはたらく他力を感じる瞬間である。

それこそ、探究が自力の道であることを私は疑わなかった。しかし実存的価値を大切にしながら学問する師や仲間に出会い、人間の間柄としての在り方の深みを実践的に経験し、学問する姿勢も人生への態度も変化しつつある。

あわいとしての人間存在を研究する私にとって、それを学術のみに表現することは難しい。ちょうど千手観音のように、とどまることなく学問と私の“他の手”との呼吸をはかりながら、深めてゆきたいと思う。

そして、他の“観音”が本コースにたくさんいらっしゃることだろう。皆さんのお手をお借りしながら、自他と世界の抜苦与楽に貢献できるコンテキストを共に創造したいと心から願っている。願わくは私の手も皆さまのお役に立てますよう。

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礼節に重きをおく吟剣詩舞道では紋付袴を着用。装飾品や羽織も省き、手には白扇のみ